旅人宿を開業しよう!

果たして食べていけるのか??


前説

当宿のスタッフとお客さんが開業したいと言うことなので、いろいろ参考になるかな?と思って考えてみました。
やり方は宿主によって当然違うので、大雑把にこんな感じ?と言うことで・・・
前提条件
1:新築は無理なので一般建物を改造(消防法適応改造、保健所指示改造)。
2:独身
3:ライダーハウスのように逃げるやり方ではなく、ちゃんと旅館営業許可の宿とする。
4:15名定員の小さい宿(消防法的に設備が少なくて済むので)
5:内装などは自分でやり、工事は基本的な部分だけやってもらう。
6:冷蔵庫など家電は独身時代のものや友人から寄付。
7:電気、ガス、水道はこまめに節約
8:年間400人で1000泊とする。(最初は500-600泊くらいだと思うが)

警告!真似して失敗しても僕は知りません。

手順

施設の改造など 最低限の法に適合させる必要があります。

・壁は防火壁(壁厚を厚くする)に改造。
・避難誘導灯、非常灯、消火器の設置
・カーテン、カーペット類は防火品へ(置かないのも手)
・外壁が木の場合、漏電受信機等の設置が必要(サイディングは不要)。
・便所の数(大小便器数)を保健所の指示数で行う。物理的な問題も考慮。
(保健所により微妙に違うが、大2小2or大3小1程度)。
・流し(シンク)の数は2つ以上
・調理場に手洗い設置
・受付場所(カウンター)の設置(確か1畳以上だったような)
・検食容器(提供食事を少し残して保存しておく容器)
手順 1:保健所へ相談。
希望場所で旅館営業をしたいと相談。
現在希望している建物の詳細写真と見取り図を持っていき、必要な改造を確認。
(調理場、流し、トイレ、受付、部屋定員)
上水道の場合は問題ないが、井戸などは別途水質検査が必要。

2:消防署へ相談。
希望建物の許可に必要な改造相談。
都市計画などで無理な場合もあるかもしれない。

3:大工&電気工事屋さんと相談
地元の大工さんと相談。
なるべく宿泊関係をやったことがある人が良い。
法的にクリアできなければ無意味な工事になる。
電気工事は工事士免許があれば自分でOK

4:消防設備屋さんと相談
消防署に紹介してもらってください
消防設備は免許が無いと出来ないそうな。

5:売主、銀行と交渉
建物が改造で行えそうなら購入(借家)契約。
借家の場合は改造についても確約が必要。
一般的な家の購入と違い、営業用途なので現金が無い場合は銀行と相談が必要。
脱サラの場合は国民生活金融公庫の融資は必要金額の50%(だったと思う)
保証協会の保証費用も別途必要。
(一般的な住宅金融公庫の金利よりも高くて返済期間は短いと思う)
(銀行は家族以外の保証人(公務員や大手企業)が無いと無理だと思うよ)

6:税務署
営業許可が出そうなら、税務署に営業申請。
税務署から税金申告が来るようになります。



費用の部

建物費用
格安500万
土地+中古建物500-800万
(古いものは改築するので結局800万位必要か?)
新築だと最低2000万くらいでしょうか?
開業時費用
いくらかけるかによりますが
ざっくり300万あればなんとか。
最近のおしゃれな感じにするなら
もっと必要。
建物改築、壁類:30万(作業を手伝うとして)
建物改築、トイレ増設:100万(大1小1増設、配管)
建物改築、水周り改造:30万(シンク増設、手洗い設置)
建物改造、火周り改造:10万(排煙、耐火壁、煙フード)
消防設備、非常灯など:30万(非常灯2、避難灯3、消火器3)

送迎車両、中古1BOX:50万
冷凍庫:8万
布団類:10万円
食器その他:2万円

保険、諸会費(車両、旅館賠償、観光協会等):10万
その他:20万
2年目以降の固定経費
たとえ0人でも50万はかかると思う。

人数より変わるが、かなり切詰めて
100万/年くらいかな。
固定資産税:10-20万/年
水道5-8万/年
電気1.5-2.5万/月。25-35万/年
ガス&灯油2-3万/月。20-30万/年
暖房燃料(薪など)0-10万/年(灯油暖房だと上段へ)
トイレ汲み取り:8-10万/年
車両税:5万/年
保険、諸会費(車両、旅館賠償、観光協会等):10万
車両オイルタイヤ等消耗品:5万/年
宿泊経費
だいたい500円

50万/年くらい
シーツ&枕カバー(消耗考慮):150円/人
石鹸シャンプー、トイレ紙等:20円/人
***以下カンパ制の場合は減算してね***
送迎燃料:10-15万/年。120円/人
コーヒー紅茶クリープ類:3-5万/年。30円/人
夜の飲会費用:10-20万/年。200円/人(飲会無ければ不要)
食事売上げ
一人200-300円

+20-30万/年
これはその日の人数によってかなり経費割合が違うと思うし
食材への割合でかなり違うのでなんとも書けないです。
少人数宿の場合、非効率な日が多く、収入には見込めにくい。
1人から200-300円位プラスになるかどうか程度。

函館の場合はほとんど街で食べてくるだろうから、項目要らないかな。
生活費用
自分が生きていくための
もろもろ最低限費用
50万/年
国民保険
国民年金(払えれば)
住民税
食費
生命保険(医療保険ぐらいは入ったほうが)
その他
30-50万/年
修繕費(けっこう物は壊れるよ)
趣味(遊ばなければやってられないと思う)
車両準備金(中古車は6年位で交換かな)
付き合い(お客さんと食べにも行くし)
お手伝いさん費用(ヘルパーさんの諸費用)


シュミレーション
してみましょう。
nを宿泊人数として
宿泊経費=500n+50万+50万*n/1000・・・・とすると

食事収入=n(100+200*n/1000)・・・・とすると

素泊3000円 食事収入 宿泊経費 差し引き 生活費 その他 合計
500人 150万円 10万円 100万円 60万円 50万円 30万円 -20万円
800人 240万円 21万円 130万円 131万円 50万円
1000人 300万円 30万円 150万円 180万円 100万円
2000人 600万円 100万円 250万円 450万円 370万円

上記から生活費(衣食住)やもろもろ引くと年間800泊が最低必要数
になると思います。さらに銀行返済があれば・・・考えたくないですね。
昔から独身宿主がやっていくばあい800人がトントンと言われていますが
まさにそのとおりだと思います。
多客時期は効率がかなり上がったり、差し入れも増えるのでもうちょっと
利益は確保できるかもしれません。うちでは10人来ると嬉しいです。

ペンションなどは客単価(ビール等含む)が6000-8000円なので600泊が
分岐点と言われてますが、最近は単価が下がっているそうで(持ち込みが
増えているようです)こちらも苦しいようです。
ニセコのばあい ニセコの場合、スキーもあって、さぞ通年来ていると思う人も多いのですが
実際は夏季は平均3人くらいで、冬季も同じようなもんです。ダラダラと通年
お客さんが居る感じで、非効率ではあります。実働8ヶ月で3人程度だから
計算すれば700-800程度でそれに正月を追加するようなものですね。
うちですか・・・そろそろ次の道考えてます(涙)。

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